

賃貸物件を借りる際にかかる初期費用のひとつとして「敷金」があります。
「敷金」とは、賃料の未払いや退去する際の原状回復費用の未払いなどに備えて、貸主(大家さん)に預けておく費用のことを指します。
一般的な賃貸物件の場合は、家賃1か月分が相場とされていますが、ペット可の賃貸の場合は通常の賃貸物件の敷金よりも高くなるケースが多いです。
そこで今回は、ペットと一緒に暮らせる賃貸物件をお探しの方に向けて、ペット可賃貸の敷金が高くなる理由と相場について解説します。ぜひご参考にしてください。
ペット可賃貸の敷金相場は?
この章では、ペット可賃貸における敷金について解説します。
ペット可賃貸とは
ペット可賃貸とは、大家さんがペットの飼育を認めている賃貸物件を指し、条件を満たしたうえで審査に通過することで入居が可能になります。
ペットの飼育を許可している賃貸物件と一括りにしても、ペット可賃貸、ペット共生型賃貸、ペット相談可賃貸と種類があり、それぞれ許可しているペットの種類や数、物件の設備などが異なります。
ペット可賃貸の種類と詳しい特徴についてはこちらの記事でも解説しているので、併せてご覧ください。
▶ 一人暮らしでもペットを飼いたい!賃貸物件を選ぶポイントと注意点
「通常の敷金+1か月分」になることが多い
ペット可賃貸での敷金の相場は、通常の敷金+家賃1か月〜2か月分が目安になります。加えて「ペット保証金」という、敷金とは別に家賃1か月〜2か月分のお金を預ける場合もあります。
賃貸物件でペットを飼育する場合、臭いや汚れが付きやすくなるため、退去時におこなう原状回復やクリーニング費用が必然的に高くなります。
これらを退去時に支払われないというケースを防ぐために、ペット可賃貸では通常の賃貸物件よりも敷金を多く請求することがほとんどです。
そのため、契約の前にしっかりと確認しておきましょう!
ペットの種類によって
敷金が変わるケースも
先述したように、ペット可賃貸の敷金の額は概ね1か月~2か月分と決まっていますが、ペットの種類によって異なる場合があります。
たとえば、猫と熱帯魚では、壁や柱の傷の有無や臭いの付き方が大きく異なりますよね。
傷や臭いの有無は原状回復やクリーニング費用にも関係するため、ペットの種類によって敷金の額と異なる場合も多いです。
敷金の確定額が知りたいという方は、大家さんにペットの種類を伝えたうえで敷金の額について質問してみるのがよいでしょう。
敷金ゼロ物件の退去費用は?
多くのペットが飼える賃貸物件では、退去時の原状回復やクリーニングのために敷金を多めに請求されます。ですが敷金がかからない賃貸物件もあるんです。
敷金ゼロ物件の場合は、代わりに原状回復費用やハウスクリーニング代を、退去時に実費で請求されるケースがあります。
また、敷金ゼロ物件は、初期費用を抑えることができるというメリットがありますが、ペットがつけた傷や臭いによって退去時に多額の費用を請求される可能性があるというデメリットも存在します。
とはいえ、ペットがおとなしい場合や、傷や臭いが付かないように万全な対策ができるという方にとってはメリットが大きいといえます。
途中からペットを飼い始める場合
ペット相談可賃貸の場合、途中から飼い始めるケースもあるかと思います。ペット相談可の賃貸物件では、ペット連れの入居者のみ、敷金が割り増しになっていたり、家賃がプラスされていることが多いです。
そのため、途中から飼い始める場合は契約内容が変更になり、敷金を追加で支払うことになります。内緒で飼い始めると、契約違反となりますので必ず大家さんに相談してください。
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退去時に敷金は返却される?
敷金は、家賃の滞納がなければ、お部屋の修繕費用を差し引かれて退去時に残れば、返還されます。
ペット可賃貸では通常の賃貸物件と比べて敷金が高くなることが多いため、退去時に敷金が返却されるかどうか気になるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この章では、入居時に支払った敷金は退去時に返却されるのかどうかについて解説します。
戻ってくる額は退去時までわからない
入居時に支払った敷金は、退去時にいくら戻ってくるのかについて疑問を感じている方も多いと思いますが、退去時まで分からないケースが多いです。
敷金は大家さんに担保として預けるお金であり、2020年に施行された改正民法では、入居者が大家さんに賃貸物件を返還すると、入居者に敷金の返還請求権が発生すると明記されています。
しかし、敷金の返金額が契約書類に明記されていない限り、退去時まで分からないことがほとんどの場合が現状です。
返金額は原状回復度合いで変わる
敷金の返金額が決まるのは、退去時の立会い後です。
立会い時に借主負担で修繕するべき箇所が見つかった場合、該当箇所を修繕するための費用を見積ります。そして、大家さんと借主の双方が納得することで、原状回復費用が敷金から支払われます。
そのため、敷金の返金額は原状回復の度合いによって変わってくるのです。
また、主に原状回復で行われるのは、フローリングや柱の傷の修繕、壁紙の張替え、脱臭・ハウスクリーニングなどです。
なるべく返金額を増やしたい方に関しては、入居してすぐに事前対策を行ったり、退去する前にある程度の修繕を施したりと、自分での対応が必要になってくるので覚えておきましょう。
退去時のトラブルを
防ぐポイント!
退去時の原状回復において、日常の使用による損耗や経年劣化における原状回復費用は不動産会社や大家さんが負担、故意または過失による破損や劣化は借主が費用を負担すると定められています。
フローリングなど、一部分のみを交換することが難しい場所にペットが傷を付けてしまった場合は多々あります。
すべての交換費用を借主が負担するのか、一部分だけ負担して残りは貸主が負担するのかといった曖昧なポイントも多く、原状回復にまつわるトラブルが起こりやすいです。
そのため、退去時のトラブルを防ぐために理解しておきたいことが2点あります。
ガイドラインを知っておこう
退去時の原状回復に関わるトラブルを防ぐために、国土交通省によって「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が作成されています。
原状回復の一般的な基準を確認したい場合は、国土交通省のガイドラインを参考にして話し合いを進めることで、トラブルを防ぐことができるでしょう。
上記でも触れましたが簡単に一部説明すると、普通に暮らしていて付く傷や汚れ(家具の設置で付いた床のへこみ、壁の画びょうやピンの跡など)、建物の構造が原因の劣化と損傷(床・壁の変色、雨漏りなど)は貸主負担になります。
借主負担になるのは、不注意や故意で付いた傷や汚れの回復費用です。ペットが付けた傷や汚れはこちらに該当します。しっかりと負担範囲を確認しておきましょう。
相談窓口を把握しよう
退去時の費用が高額な場合、まず最初に内訳と明細書を請求しましょう。契約内容とガイドラインを確認しながら、不明点や疑問点があれば、大家さんや不動産会社に相談してください。
話し合っても問題が解決しない場合は、以下の相談窓口を利用するのも一つの方法です。こちらは無料で相談できる窓口となっていますので、トラブルが大きくなる前に有効に活用しましょう。
相談窓口 | 連絡先 |
---|---|
市区町村にある 生活相談窓口 |
市区町村による |
法テラス (日本司法支援センター) |
0570-078374 |
独立行政法人 国民生活センター |
03-3446-1623 |
消費者 ホットライン |
188 |
不動産適正 取引推進機構 |
570-021-030 |
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今回の記事では、ペット可賃貸の敷金や退去時のことについて解説しました。通常の敷金相場が家賃1か月分なのに対して、ペット可賃貸の敷金相場は家賃1か月分と高くなる場合が多いです。
また、敷金の返還額は退去時の原状回復度合いによって異なるため、より多くの敷金額を返還してもらいたいという方は、ペットが賃貸物件に傷や汚れを付けないよう、コーティングやシートを活用し、入居時から万全な傷・汚れ対策をおこなう必要があります。
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